BAND-MAIDができるまで(妄想編)〜BAND-MAID誕生

BAND-MAID誕生のキーポイントは4つあったと思う。

 

最初は、ミクがメイド服のバンドを思い立ち、メンバーさえ集まればデビューできるところまでお膳立てしたことである。単に思いついただけではなく、メンバーさえ決まれば実際にプロとして音楽活動ができるところまで自ら動いた、というのが重要である。

 

次に、Kanamiがミクの誘いに応じたことである。これはその後のBAND-MAIDの活動を考えれば「ミラクル」の類である。私からすれば、ハードロックが特別に好きなわけでもないのに、あんな完璧な楽曲群を作れてしまう、Kanamiの存在自体がミラクルなのだが、この才能を引き当てたミクの運の強さも尋常ではない。AkaneとMisaもKanamiが動いたから付いてきてくれたわけだしね。

 

続いて、Saikiがミクと同じ事務所に所属していたことである。これはある意味、Kanamiを引き当てた以上に「ミラクル」な出来事と言える。今となっては Rock Queen 以外のSaikiを想像するのは不可能だが、BAND-MAID加入以前のSaikiのプロフィールに「特技:歌」とあったということは、その時点では本業を歌にする気はなかったということなのである。しかも好きな歌手は安室奈美恵で、ハードロックを歌っていたわけでもなかった。ミクはそんなSaikiにハードロックを歌わせて、その才能を引き出したのである。 

 

そして、最後が、ミクがサイドギターとしてバンドに残ることを選択したことである。このバンドはミクが発案し、メンバーを集め、形にしたバンドである。しかし、ミクはそれまでギターを弾いたこともなければ、ハードロックが好きだったわけでもない。サイドギターが必要なら、Saikiを新しいボーカルとしてバンドに加入させたように、うまいギタリストをミクの代わりに入れる方がそれまでのやり方と辻褄が合うのではないだろうか? ミクがバンドに残りたいのなら、ツインボーカル体制を維持すればいいだけの話である。

 

この問題のポイントはSaikiがプロのシンガーを目指していなかった点にあると考える。つまり、Saikiはプロを目指していたわけではなかったので、ボイストレーニングのようなシンガーとしての訓練をほとんど行っておらず、ライブでハードな楽曲をシャウトするには致命的に喉が弱かったのである(注:妄想ですよ)。

 

これを克服するためには時間が必要であり、1年という期限が設定された。その間のバンド活動をどうするかということで考えられたのが、ミクとのツインボーカル体制である。喉に負担がかかるハードな楽曲は封印+喉が強くなるまでなるべく喉を休められるように二人で代わる代わるメインを歌う(たまにはハモるパートも入れる)という形である。ボーカルにミクが残れば、もしライブ中にSaikiの喉の調子がおかしくなっても無理はさせず、ミクが全体をカバーするようにすればなんとかなる。

 

しかし、Saikiの喉が万全となった後に、ミクはどうするのか。そこで提示されたのがサイドギターである。Saikiの喉を強くするのに1年間の猶予がある。それと同じ期間でミクはギターを習得する。そうなって初めて、ハードロックバンド=BAND-MAIDが完成するというわけである。

 

Kanamiを中心とした超絶テクニックの楽器隊が、カッコよくロックをシャウトするSaikiをサポートするというのがBAND-MAIDの音楽の形になるわけだが、ここにバンド結成の中心人物であるミクの居場所はないように見えた。そのためミクはバンドを離れることも考えた(と私は思う)が、バンドはミクの居場所をしっかりと提示してくれたのである。そして、形ばかりに場所を用意したのではなく、このバンドがミクが作ったものであり、バンドが彼女を必要としていることの証として、メイドコスチュームを受け入れ、継続することにしたのだ。

 

こうして、メイド服なのにハードな楽曲を演奏し、凄腕プレイヤー揃いの中で、サイドギターだけが明らかに素人という、ギャップだらけのバンド=BAND-MAIDが誕生するのである。