小鳩ミクのBAND-MAID愛

BAND-MAIDは、その誕生ストーリーから見て

  1. Kanami、茜、Misaの楽器隊
  2. ハスキー&シャウト系ボーカルの彩姫
  3. 楽器隊とボーカルを出会わせた小鳩ミク

の3つのパーツから成り立っていると言える。

 

Kanamiらの楽器隊は、BAND-MAIDがなかったとしても、いつかは一緒に音楽を始めていただろうが、どんな音楽をやっていたかはわからない。彼女らがHR/HM系の音楽をやるようになったのは、彩姫というボーカルの存在が大きい。そして、この2者を出会わせたのが小鳩ミクだった。

 

ミクは当初ボーカルだったが、バンドのスタイルが変わるとそれに合わせて自分の立ち位置を変え、バッキングボーカル&サイドギターを担当するようになる。また、単なるバンドの一員として以外にも

  • ライブのMC
  • バンドの広報
  • オリジナル楽曲の作詞

という役割もこなしている。MCや広報の時の喋りが独特なので(くるっぽー)、その印象が強いが、ミクがこのバンドで最も貢献しているのは「作詞家」としてではないかと思う。ミクが書く歌詞はBAND-MAIDへの想いで溢れており、その気持ちを知る他のメンバーにも力を与えているように感じるからだ。

 

小鳩ミクが書く歌詞の世界は、大きく2つに分けられる。それは、「これから始まる」世界と、「これからも続いて欲しい」世界である。「これから始まる」世界の代表曲は「YOLO 」であり、「これからも続いて欲しい」世界の代表曲は「Daydreaming」であろう。

 

ミクのこれまでの作品を分類してみると(バンドメンバー以外との共作を除く)

 

「これから始まる」系は

 

 「これからも続いて欲しい」系は

という感じになるだろう。

 

「これから始まる」系の曲は「不確かな状況(未知、未来、暗闇など)に対して自分がとる行動」がテーマであり、BAND-MAID(ミクとその仲間たち)の冒険の始まりを歌うものである。

 

「これからも続いて欲しい」系の曲は、別れの可能性を感じながらもこの状態が続いて欲しい、と願う感じのものが多い。形としてはラブソングなのだが、これらもミクのバンドへの想いが書かれたものと考えた方が、私にはしっくりくる。つまり、この系統の曲は普通のラブソングのように見えるが、「このバンドと一緒にやっていきたい」というミクの気持ちが書かれているように感じるのだ。

 

BAND-MAID初のオリジナル曲となった「alone」にしろ、初のバラードシングルとなった「Daydreaming」にしろ、かなり「切なさ」を感じさせる歌詞となっているが、それは「別れ」「終わり」の予感が隠れているからだろう。

 

妄想編に書いた通り、私は「彩姫をボーカルとして入れた時点で、ミクはバンドを離れるつもりだった」説の持ち主なのだが、その時の葛藤と、バンドにサイドギターとして加わることを決めた時の不安が、この系統の曲の歌詞に現れているのではないかと思う。

 

ミクは元々アイドル志望であり、歌には自信があるが、楽器の演奏経験はない。バンドも自分がボーカルをやりたくて思い立ったものに違いないのだ。それが、集まったメンバーの実力がわかると、それに合ったボーカルを別に加入させ、自分は脇に回った。繰り返すが、歌が好きなアイドル志望の娘が、メインボーカルを諦めて、楽器経験もないのにあの超絶テクニックの楽器隊の一員になろうというのである。これは簡単な決断ではなかったはずだ。

 

ミクがなぜそう決断したのかを再び妄想で補うことはしないが、Kanamiらの楽器隊と彩姫というボーカルが出会わなければ、今のBAND-MAIDサウンドは無かった。そして、彼女らが出会ったのは、間違いなくミクが行動したからなのである。

 

結果として、この三者の出会いとBAND-MAID結成は、ミクの夢をアイドル(シンガー)から、バンドの一員へ、そしてバンドの成功へと変えてしまうほどに大きなものになった。ここに何か運命のようなものを感じるのは、私だけではないだろう。

 

意図した形とは違ったが(違っていたからこそ)、自分の行動が生み出したBAND-MAIDという共同体に運命を感じ、これを愛してやまないのが、小鳩ミクである。彼女よりこのバンドを愛せる者は他にいない。

 

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