1960年代ロック

当初の予定では1950年代、60年代のポップス系の音楽を軽く紹介した後に、60s、70s、80sロックに触れようという魂胆でしたが、60年代ロックで力尽きました。残りはまたX年後にトライしたいと思います。

 

最初に、1950年代「ロックンロール」の有名アーティストを補っておきます。アーティストと曲についてはリンク先のWikipedia(ほぼ日本語ページがあります)を参照ください。

  1. Little Richard - Long Tall Sally (1956)

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  2. Chuck Berry - Sweet Little Sixteen (1958)

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  3. Fats Domino - Ain't That a Shame (1955)

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  4. Eddie Cochran - Summertime Blues (1958)

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  5. Gene Vincent - Be-Bop-A-Lula (1956)

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後の「ロック」に多大な影響を与えたアーティストおよび楽曲ですが、この頃はまだ「ロックンロール」というジャンルであり、どちらかと言えば新種のダンスミュージックという位置付けだったと思います。実際、「1950s Rock and Roll」で検索するとダンスの動画(映画のシーンが多いですが)がかなり見つかりますし、面白いことにSwing Jazzの名作「In The Mood」を含むものが多かったりします。

さて、1960年代ロックですが、15曲選んでみました。ビートルズからジミヘンまでは無難な人選(曲は変わるでしょうが)だと思いますが、それ以外は選ぶ人によってかなり変わるでしょう。一般的な評価は「Rolling Stone誌が選ぶ〜」の60年代のものを調べるといいかもしれません。

コメントは主に個人的な思い出を綴ったもので、アーティストや曲の解説というわけではありません。それぞれの詳細はリンク先のWikipediaを参照ください。アーティストの活動期間はデビュー曲のリリースから最初の解散またはアーティストの死去までです。ちなみに、リアルタイムで経験・聴いていたわけではありませんよ。

  1. The Bealtes - A Hard Day's Night (1964)

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    最初に聴いた洋楽は、カーペンターズビートルズです。どちらも心地よいポップソングとして聴いていました。「ポップ」で「親しみやすい」。子供でも楽しめる曲を作って、歌ってくれる人たちという認識ですね。その後アルバムを聴くようになって、改めてビートルズの音楽性の幅広さを知ることになりますが、今でも根本の部分ではその認識は変わっていません。Tomorrow Never Knows (Audio) - YouTube (Official)Helter Skelter (Audio) - YouTube (Official)Strawberry Fields Forever (MV) - YouTube (Official) といった曲にしても、普通の人がこのアイデアに飛びついたところで、一般人が楽しめるものにはならないと思うんですよね。それを担保したのは、彼らの優れた「ポップ感覚」だったのではないかと思います。

     

  2. The Rolling Stones - (I Can't Get No) Satisfaction (1965)

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    たぶん小学校高学年の頃ですが、たまたまラジオから流れていたこの曲を聴いてある種の衝撃を受けました。それまで聴いていたポップスの「明るさ・楽しさ」、バラードの「切なさ」とは全く異なる「新しい何か」をこの曲から感じました。「これは一体なんだろう?」という疑問を持ち、後にその正体を探り始めたのが、Rockにハマるきっかけになります。

     

  3. The Who - My Generation (1965)

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    どうやら「Rock」という音楽ジャンルがあるらしい、ということがわかったので、中学になってラジカセを買ってもらったのを機会に、FMラジオでRock特集を聴いてみました。で、Rock というと必ず紹介される曲の一つがこれなんですが、私の第一印象は「急ぎすぎ?」というものでした。Rockにはこの手のスピード感を特徴とする曲も多いですが、私が求めるものはこれではないな、という感じです。ビデオの最後にあるような派手なパフォーマンスも、個人的には好きではないかな。

     

  4. The Kinks - You Really Got Me (1966)

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    Rockを聴き始めの頃、一番「なんじゃこりゃ?」と思った曲です。メロディーではなく、ギターリフを中心に構成された曲を聴くのが初めてだったので、「これって曲にあるべき(と当時思っていた)要素が足りなくない?」と感じたんですね。どうも曲の構成からして、これまで聴いていたのとは違うらしい、というか、音楽はいろいろやっても良いんだな、ということがわかってきました。

     

  5. Cream - Sunshine of Your Love (1967)

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    で、本当の意味でRockに心を持って行かれたのはこの曲です。それまではメロディの好き嫌い=曲の好き嫌いだった(=「自分が歌った場合に気持ち良さそう」が評価軸だったということですね)んですが、これは完全に演奏にやられました。今から考えると、パフォーマンスそのものよりも、この「重さ」を生み出したアレンジの方が効いていたかな。そのことに当時気がついていたら何か楽器を始めていたかもしれないな、と今更ながらに思います。Creamは White Room - YouTube もお薦めです。

     

  6. The Doors - Light My Fire (1967)

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    ドアーズはベースなしで代わりにオルガンが入るという珍しい編成のバンドです。音楽的にはそのオルガンに特徴があります(少し賛美歌的というか宗教的な色合いを帯びる)が、何と言ってもボーカルの Jim Morrison の存在感、パフォーマンスが圧倒的で、そのカリスマ性は歴代ロックアーティストの中でも際立っています。そして、残念なことに、その後に続く「破滅型ボーカリスト」の先駆けともなってしまいました。ドアーズの曲では、映画「地獄の黙示録」で使われた「The End」も有名だと思いますが、その演奏動画(「The End - YouTube」)も残っています。

     

  7. The Jimi Hendrix Experience - Purple Haze (1969)

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    ロックの「カリスマ」というと、もうダントツでこの人なんですが、最初聴いた時はただただ「???」でした。「わからない」というより「わかりたいのに拒絶される」感じが強かったですね(今でもそんな感じはあります)。ただ、Rockを聴くきっかけとなった、単純な「快/不快」とは異なる軸の「何か」がわかりやすく出ているのではないかとも思いました。今回の60年代ロックのリストの中から現在の音楽シーンにも影響を与えうるアーティストを選ぶとなると、ビートルズかこの人、どちらかになるのではないでしょうか。

     

  8.  The Velvet Undergound & Nico - I'm Waiting for the Man (1967)

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    不穏なリズムとノイジーな楽器音の繰り返し。「快/不快」で言えば、「不快」に寄った要素を散りばめながらもギリギリのところで止まる感じは、案外、今のメタルやインダストリアルミュージックに通じるところがあるかもしれません。このグループは、他の多くのロックバンドと異なり、R&Bやロックンロールとは異なるルーツを持つようです。メンバーは現代美術の巨匠アンディ・ウォーホルと交流があり、ウォーホールデビューアルバムのジャケットカバーも手がけています。

     

  9. The Spencer Davis Group - I'm a Man (1967)

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    • 活動期間:1965〜1969年(ボーカルのSteve Winwoodは1967年脱退)

    Spencer Davis Group は Gimme Some Lovin' - YouTube (500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone #247) が有名ですが、一般的な知名度はそんなにないかもしれません。この曲は先に紹介した The Velvet Underground「I'm Waiting For the Man」と聴き比べると面白いんじゃないかと思って選んでみました。やはり冒頭から何やら不穏なリズムが奏でられますが、こちらはしっかり R&B をルーツに持つというか、普通は R&B に分類されるバンドによる演奏です。私がここから感じるのは、この不穏さを打ち消す/打ち克つ「熱」のようなものですかね。ちなみにボーカル/オルガンの Steve Winwood はこの時まだ10代でした。

     

  10. The Beach Boys - California Girls (1965)

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    ビーチ・ボーイズは、Surfin Usa - YouTube (1963)、Fun Fun Fun - YouTube (1964) など、快活なサーフロックの印象が強く、これ以降の曲は聞いたことがなかったんですが、David Lee Ross によるカバー - YouTube (1984) がパロディっぽかったので、原曲はどんなものかと聴いてみてビックリ。原曲がすでにセルフパロディみたいなものだったのです。作風が短期間で一変した感じだったので、何かあったのかと調べてみると、「Surfin’ USA」に盗用問題(Songs on Trial: 12 Landmark Music Copyright Cases – Rolling Stone : "Surfin' U.S.A.," by the Beach Boys (1963) vs. "Sweet Little Sixteen," by Chuck Berry (1958))があったらしいのです。最も成功した曲がオリジナルと認められなかったというのはアーティストとしてこれ以上ない痛手と思いますが、そこで終わらず、表現者として歩み続けたのは素晴らしかったと思います。ちなみに、この頃作られたアルバム「Pet Sounds」はオールタイムランキング上位の常連(500 Greatest Albums of All Time – Rolling Stone #2)となっています。

     

  11. Deep Purple - Hush (1968)

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    • 活動期間:1968〜1976年

    Deep Purple は、1970年代にハードロックバンドとして大成功を収めるグループですが、活動当初はこんな感じの音楽(当時流行のサイケデリック・ロック)をやっていました。しかもこの曲はオリジナルではなくカバーになります。メンバーは、ギター:Ritchie Blackmore、キーボード:Jon Lord、ドラム:Ian Paice が黄金期と共通しています。新しいジャンルで成功したグループなので、最初からそのスタイルを貫いていたんだろうと思っていましたが、彼らにも模索期はあったんですね。そして、模索期とは言え、楽曲の完成度は非常に高いものでした。

     

  12. Pink Floyd - See Emily Play (1967)

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    Pink Floyd は 1970年代以降、プログレッシブ・ロックのバンドとして大成功を収めるグループですが、活動当初はこんな感じの音楽(当時流行のサイケデリック・ロック)をやっていました。メンバーもベース:Roger Waters、キーボード:Richard Wright、ドラム:Nick Masonが黄金期と共通ですが、この頃の Pink Floyd は初期メンバーのSyd Barrettのワンマンバンドだったということです。彼は体調などの問題で60年代に脱退しますが、もしこのまま彼を中心とした音楽活動が続いていたら、各メンバーの才能の開花や70年代以降のPink Floydの傑作アルバムの存在もなかったのかもしれません(逆に更に素晴らしいアルバムが生まれていた可能性もあります)。バンドは生き物というか、いろいろな巡り合わせの不思議を思わされます。

     

  13. Procol Harum - A Whiter Shade of Pale (1967)

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    邦題は「青い影」。荘厳なオルガンの音色が印象的な曲で、特にイギリスで人気があり、BBCラジオ2が2009年に発表した「過去75年UKで最もプレイされた曲トップ10」第1位だったとのこと(BBC NEWS | Entertainment | Whiter Shade 'most played' song)。私も大好きな曲なんですが、Rockかと言われると「?」な感じです。クラシック要素を加えたロックはプログレッシブ・ロックとして広がっていきますが、プログレのバラード系名曲と比べてもちょっと違う風に感じます。(例えば、Pink Floyd - Wish You Were Here (Audio) - YouTube (Official)King Crimson - Epitaph (Audio) - YouTubeYes - Wonderous Stories (MV) - YouTube (Official)

     

  14. The Moody Blues - Nights In White Satin (1968)

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    • 活動期間:1964〜1974年、1978年〜現在

    邦題は「サテンの夜」。「青い影」ダーク版といった感じの曲ですが、こちらはロック(プログレッシブ・ロック)と言われて違和感はありません(Procol Harumと違って、ムーディー・ブルースがこの後もずっとプログレに分類されるバンドだったというのもありますが)。wikipediaを見ると、London Festival Orchestra が協力したようですが(ビデオでもフルートを演奏するシーンが挿入されています)、曲の音自体はメロトロン【池部楽器店】 Digital Mellotron M4000D - YouTube)で作られていたらしいです。こちらは面白いチャートアクションをした曲で、シングル発売の1968年はビルボード最高103位(イギリスでは19位)だったんですが、1972-3年に最高2位(イギリス9位)、更にイギリスでは1979年にも最高9位まで浮上しています(ムーディー・ブルース「Nights In White Satin (邦題: サテンの夜)」のゆっくりとしたチャートアクション)。

     

  15. John Lennon (Plastic Ono Band名義) - Give Peace A Chance (1969)

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    「平和を我等に」という邦題がついていますが、原題は「平和にチャンスを」という意味で、歌詞を見ればわかる通り、主義主張を振りかざして言い争う人たちに対して、この言葉を送ったものです。当時の「Love & Peace」運動の流れを汲む平和活動パフォーマンスから生まれた曲なんですが、「Love & Peaceだって主義主張じゃん?」というツッコミをやんわりとかわす「提案」という形の歌詞になっているんですね。そして、言い争う人=everybody と「平和にチャンスを」と言う人=we を誰のこと(具体的には自分はどちらだろう)と考えるかでこの歌の意味は変わってくるでしょう。私の解釈は「言い争っているのも私たち、平和にチャンスをと言い続けるのも私たち」です。

    英語の「and」には「AとB」という2つのものを並置する意味と、「AするとB」という「結果」を表す意味があります。「Love & Peace」は普通に訳せば「愛と平和」ですが、「愛すれば平和(安らぎ)」という解釈も可能かもしれません(ジョンとヨーコのパフォーマンスもこちらの方がしっくり来ます)。それでは「愛する」とは具体的にどういうことでしょう? この歌の個人的解釈によると、その答えは「すべてをweと捉えること」つまり「我等と彼等のように区別を設けるのではなく、分け隔てしないこと」ということになります。聖書の言葉にも近いのではないでしょうか。

結局、私がRockに感じた「新しい何か」とは何だったのか?という話まで行けませんでしたが、結論を言えば「何でもいい」です(「どうでもいい」ではありません)。音楽の「気持ち良さ」という軸はとてつもなく重要で、新しい試みも、さまざまなメッセージも、これとのバランスを欠いたものは、たぶん多くの人に届くことなく終わってしまうでしょう。ただ、新たに曲を作り、演奏する人たちには、他の誰でもない自分がそうしなければならなかった「何か」があり、それが私にとって「新しいもの」である可能性は今も変わらずあり続けるんですよね。逆に昔の曲が今の人たちにとっての「新しい何か」となる可能性もあるでしょう(私もそうだったわけですから)。というわけで、枯れることのないよう新しい音楽も聴きつつ、たまには昔の曲をここでも紹介したいと思います。

 

長々と書いてきましたが、最後までお付き合いいただけた方はお疲れ様でした (^^。紹介したビデオを全部見たら、それだけで1時間超えちゃうと思うのでそこまでする人はいないでしょうけどね。 あ、冥途乃日は外れてしまったので、レポートなどは無しになります。 それでは、また〜

 

Spotifyのプレイリストを置いておきます。

 

※ 1950年代アーティストの100 Greatest Artists – Rolling Stone と 500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone の情報も追加しておきます。

  1. Little Richard:100 Greatest Artists  #8
  2. Chuck Berry : 100 Greatest Artists  #5
  3. Fats Domino : 100 Greatest Artists  #25
  4. Eddie Cochran
  5. Gene Vincent
  6. Bill Haley & His Comets