CONQUEROR
「Just Bring It」「World Domination」に続くメジャー3枚目のアルバム。「New Beginning」「Brand New Maid」のミニアルバムを含めると5枚目、インディーズ時代の「Maid in Japan」を含めると6枚目のアルバムとなる。
「Thrill(New Beginning収録)」以降、BAND-MAIDは Hard Rock路線を進んできたが、過去のアルバムはそれぞれ微妙に異なるものだったように思う。個人的な印象では、
- 1960年代:New Beginning, Brand New Maid
- 1970年代:Just Bring It
- 1980年代:World Domination
のように、アルバムごとに過去の違った年代の洋楽(Rock)をベースにしているため、その時代の雰囲気が出ていると感じていた。例えば、New Beginningの「Beauty and the Beast」「Shake That 」は「 You Really Got Me」「My Generation」、 Brand New Maidの「Freedom」は「Somebody to Love」のように、60年代ロックの代表曲を彷彿とさせるようなメロディなりリフがある。
Just Bring It、World Domination にもそれぞれ 70、80年代を思わせる要素を持つ曲が散りばめられているが、それをいちいち挙げていっても詮ないことなので、そういうことはここでは遠慮しておきます。ただ、Nickelback「Animals」との類似を指摘されている「Take me higher!!(Just Bring It 収録)」について言うと、これは私からすれば、前期Doobie Brothers 以外の何物でもない。
というわけで、ロック史を辿り直す形でそのサウンドを変えてきた BAND-MAID が、次のアルバムでどんな音楽性を見せるのか楽しみにしていた。次は 90年代のオルタナっぽいものになるのか、それともRock全盛期の70〜80年代をテーマに同じことを繰り返すのか。
発表されたシングル、MVからは、Rock の現代的=BAND-MAID流の再解釈という線が強いかと思っていた(Smile - otmgkの日記)が、結果は
- 従来路線:flying high、Liberal、The Dragon Cries、
- 現代風アレンジ:glory、Bubble、輪廻、Blooming
- ミディアム〜スローテンポ:endless Story、PAGE、At the drop of a hat
- Popベース:Mirage、カタルシス、azure、Dilemma
- ?:Wonderland
と、楽曲の幅を広げる混合型のようですね。Popな曲も今時の J-Popというより、70年代ごろの洋楽ポップスが土台という気がします。CONQUEROR 配信開始 - otmgkの日記 で作った playlist では、Mirage、azure、Dilemma の(私には)Popベースに感じた曲を外しましたが、これは好き嫌いが理由ではなく、Rockからは微妙に外れると思ったからです。私だったらこの3曲はアルバムとは別にシングルでまとめるかな。まあ、今はリスナーがplaylistで好きな曲順で聴けるので、こんなこだわりは意味ないとは思いますが。
何にせよ、過去のアルバムで学習=再構築したRockを、現代に新しい形で提示するのには成功しているんじゃないでしょうか。アルバムジャケット、endless Story の MV の最後のシーン、そして Blooming というタイトルの曲と、このアルバムには「開花」のイメージがついていますが、内容的には文句なし。後は新しい世代にも広がって、セールスも付いてきてくれると言うことなしですね。