1990年代日本の女性ボーカル回顧(ちょっとマイナー)

海外ツアーまでちょっと時間があるので、また少し昔の曲を紹介したいと思います。(その3)

 

今は「J-Pop」とか「J-Rock」とか普通に使っていますが、この辺の言葉が使われ始めたのは 1990年代のことです。(J-Rock が言葉として定着するのは海外で認知され始めた最近のことような気がしますが)

1990年代は日本で音楽が最も盛り上がっていた(最も音楽が売れていた)時期でもありました。どれくらい売れていたかは、一般社団法人 日本レコード協会> 統計情報 > ミリオン認定数推移の「年次ミリオン認定作品」で年度別のミリオン作品が確認できますが、1991〜2000年の間にシングルだけでも180曲以上のミリオン(ダブルミリオンとかトリプルミリオンとかも含みます)ヒットが出ています。B'z、Mr. ChildrenGLAY安室奈美恵宇多田ヒカルなんかがこの頃のミリオンヒットの常連でした。

 

で、この頃は音楽産業自体が非常に潤っていたこともあり、王道なヒット曲たちとはまた別にいろいろ面白い試みをしていた音楽もありました。ミリオンやNo.1ヒットまでは行かないまでも、そこそこ流行った音楽からいくつか紹介しましょう。

 

橘いずみ - 失格 (1993)

youtu.be 作詞 ・作曲 : 橘いずみ、編曲 : 星勝

チャートではこの順位でしたが、ロングセラーとなったのでご存知の方も多いと思います。歌詞の内容を含めて「女・尾崎豊」とも言われていましたが、聴いてもらえば分かる通り、ロックチューンをバックにしたラップという感じの曲でした。この手のスタイルはラップが十分に認知され、人気のある今の方が受けるかもしれません。

 

川本真琴 - DNA (1996)

youtu.be 作詞・作曲:川本真琴、編曲:石川鉄男

最近妙な感じで話題になってしまいましたが、当時はかなり人気もあり、ヒット曲も多かった人です。しかし、Spotify や AppleMusicだと当時の音源はなく、あっても最近のセルフカバーのバージョンでしか聴けないみたいですね(もったいない)。この曲はデビュー2曲めで、初めての自作曲のシングルでしたが、ウッドベースを使っていたのが斬新でした。川本真琴はキャッチーなメロディを使いながらも、かなり早口なパートを入れていて、その部分がラップみたいに聴こえる点に特徴があったという印象です。

 

Cocco - 強く儚い者たち (1997) ※ Short Ver.

youtu.be (Official) 作詞:こっこ、作曲:柴草玲、編曲:根岸孝旨

強めのディストーションの効いた音で始まり、独特な(幻想的というか幻覚的というか)世界の歌詞が提示されますが、JALのCMソングとしてお茶の間でもかなり流れていました。

youtu.be

short ver. およびCMだとわからない歌詞の全文はこちらです。この歌詞とこのボーカル、この曲とこのアレンジでないと表現できないものがあったと思います。

 

LOVE PSYCHEDELICO - Your Song (2000) 

youtu.be (Official)

  作詞・作曲:LOVE PSYCHEDELICO

2000年発表なので 90年代に入れるのもなんですが、アコースティクギターの音なのに、よくあるフォークソングのスタイルではなく、日本語の歌詞で日本人が歌っているのに、日本語っぽく聴こえない、という風に、「〜のはずなのに〜でない」という形で新しさが出ていた(と私が感じたという話ですが)面白い曲でした。

 

小川美潮 - デンキ (1991)

youtu.be 作詞:工藤順子(concept by 小川美潮)、作曲:小川美潮、編曲:板倉文 & the Band

この曲は、他と違ってヒットチャートには入っていないので、ほとんどの人は知らない曲だと思います。小川美潮さんは「チャクラ」というバンドのボーカリストとしてデビューした人で、詳しくはリンク先のWikipediaを参照してください。フンワカとした音の懐かしめな旋律が、エレクトリックな音で独特な世界として表現されています。小川美潮Spotify、AppleMusic に配信があるので、興味のある方は聴いてみてください。

 

1990年代のJ-Popの特徴としては、パフォーマー(というかボーカル)が楽曲作りに参加することが多かったというのが挙げられます。当時のヒットメーカーでいうと、宇多田ヒカル広瀬香美岡本真夜なんかはシンガーソングライターなので当然作詞・作曲を行なっていますが、シンガーのイメージが強いZARD浜崎あゆみも初期の頃から作詞をしていましたし、相川七瀬松田聖子なんかも途中から作詞に参加しているようです。

この頃の女性シンガーが曲作りに参加するのが増えたのは、マドンナの影響が大きかったのではないかと思います。どちらかというとアーティストイメージを自己プロデュースするのが主で、その一環として曲作り(特に歌詞)に参加していたという印象です。特に当時はカラオケ全盛でもあったので、歌詞でファンの共感を呼ぶのも重要なポイントだったのでしょう。

 

今だと、いくつかのアイドルグループは、パフォーマンスを行う本人たちがもっと曲作り(特に作詞)を中心としたセルフプロデュースをやってもいいんじゃないかと思います。特に BiSH と PassCodeは、ファン層を同性に広げたい場合は、やった方がいいのでは。

 

BiSH - DiSTANCE (2019)

youtu.be (Label Official) 作詞:松隅ケンタ・JxSxK、作曲:松隅ケンタ

 

アイドルはもう卒業しましたが、山本彩は頑張ってました/ますよね。

山本彩 - 喝采(2017) ※ Live short ver.

youtu.be (Official) 作詞・作曲:阿部真央、編曲:亀田誠治

山本彩 - JOKER(2017) 

youtu.be (Official) 作詞:山本彩いしわたり淳治、作曲:山本彩、編曲:亀田誠治

natalie.mu