1960年代R&B/Soul (Part 2)

前回の「1960年代R&B/Soul」では紹介しきれなかった曲が結構あったので、Part 2として紹介したいと思います。

  1. The Jackson 5 - I Want You Back (1969)

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    King of Pop = Michael Jackson のデビュー作。本来なら Part 1 で紹介しておきたい曲でしたが、年間チャートだと1970年になるのであちらからは外しました。しかし、70年代はやらないと思うので、ここで紹介しておきます。で、この曲にどんなカバーがあるんだろうと探してみたところ、Motown25周年記念イベントでの再結成時のパフォーマンス、というのを見つけました。

     

    The Jackson 5 (reunion) - I Want You Back/The Love You Save  ※ Live 1983

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    他の曲も探してみるといろいろなカバーが見つかったので、Part 2 ではカバー曲も同時に紹介したいと思います。

     

    The Dalton Academy Warblers - I Want You Back (2012) 

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    私が好きな「I Want You Back」のカバーバージョンです。アメリカのTVドラマシリーズ「Glee」第3シーズンのマイケル・ジャクソン特集で撮影されたものですが、本編からは時間の都合でカットされるも、埋もれさせるには惜しいということで脚本/プロデューサーの個人チャンネルで配信されました。

     

  2. Solomon Burke - Everybody Needs Somebody to Love (1964) ※ Live 2003

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    Solomon Burke は60年代の動画が見つからなかったので、発表から約40年後のパフォーマンスから。冒頭の「語り」の迫力が素晴らしいんですが、この人は子供の頃「天才説教師」として評判をとり、その後に歌手デビュー。本物の説教師としても活動した人物です。

     

    Mick Jagger - Everybody Needs Somebody to Love ※ Live 2011

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    こちらは、第53回グラミー賞でのミック・ジャガーのゲストパフォーマンス。ソロモン・バークが亡くなった3ヶ月後に行われたものです。

     

  3. Sam & Dave - Soul Man (1967) ※ Live 1974

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    Sam & Dave は「Hold On, I'm Coming - YouTube」の方が実は好きなんですが、「カバー紹介」込みだと文句なしでこちらですね。

     

    The Blues Brothers - Soul Man (1978) ※「Soul Man」は 1:25あたりから

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    元祖「サタデー・ナイト・ライブ」でのブルース・ブラザーズのパフォーマンス。というか、ブルース・ブラザースはこの番組の企画として誕生しました。後にこのキャラクターで映画「ブルース・ブラザーズ」が作られますが、この映画は60年代R&Bの再発見にかなり貢献したんじゃないでしょうか。

     

  4. Booker T. & The M.G.’s - Green Onions (1962)

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    Booker T. Jones(キーボード)を中心に、当時のR&Bの録音・制作に携わったスタジオミュージシャンによって結成されたバンド。例えば、Otis Redding「(Sittin' On) The Dock of the Bay」はこのメンバー+αで録音されているようです(ギターの Steve Cropper は作曲にも協力)。一つ前で紹介した Sam & Dave「Soul Man」のビデオで演奏しているのも彼らです。

     

    Deep Purple - Green Onions/Hush ※ Live 2014

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    カバーは Deep Purple の2014年の来日公演(武道館?)から。メンバーは、イアン・ギラン(Vocal)、ロジャー・グローヴァー(Bass)、 イアン・ペイス(Drum)、スティーヴ・モーズ(Guitar)、ドン・エイリー(Keyboard)。全盛期のリッチー・ブラックモア(Guitar)、ジョン・ロード(Keyboard) はいませんが、メンバー交代や解散・再結成を繰り返した有名バンドも、21世紀からはこのメンバーで安定しています。ビデオ後半の楽器の絡みがいいですね。

     

  5.  The Bar-Kays - Soul Finger (1967)

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    英語版wikipedia を見ると、

    they were chosen by Otis Redding to play as his backing band and were tutored for that role by Al Jackson, Jr., Booker T. Jones, and the other members of Booker T. & the M.G.'s.

    The Bar-Kays は、Otis Redding のバックバンドとして結成され、Otis 自身がメンバーを選び、Booker T. & The M.G.’sから教えを受けたバンドのようです。そして残念ながら、何人かは Otisと運命を共にすることとなりました。

     

    京都橘高校吹奏楽部 - Blues Brothers Venue ※ Live 2018 

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    Soul Finger はブラスバンド、マーチングバンドの定番曲みたいで、あっちこっちの高校、大学のスクールバンドで取り上げられています。YouTubeで有名な京都橘高校で探してみたらやはりカバーがありました。この動画は再生数が少ないですが、京都橘高校吹奏楽部の動画は100万回以上再生のものがいくつもあり、コメントは外人だらけという、どこかで見たことがあるような状況となっています。

     

  6. Wilson Pickett - Land of a Thousand Dances (1962)

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    Wilson Picket は「In the Midnight Hour」が「500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone #135」にランクインしていますが、「Land of a Thousand Dances」はランク外。カバーも「In the Midnight Hour」には、B.B. KING, STEVIE RAY VAUGHAN - In the Midnight Hour - YouTubeTina Turner - In the midnight hour - YouTube と捨てがたいものがありますが、ここでは「Land of a Thousand Dances」=邦題「ダンス天国」で行ってみましょう。

     

    Superfly & The Lemon Bats - ダンス天国 ※ Live 2010

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    というわけで、カバーも「ダンス天国」表記のものから。このライブは雑誌「SWITCH」の創刊25周年のもののようです。

     

  7. The Fifth Dimension - Aquarius/Let the Sunshine In (1969)

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    500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone」は非常に良いリストだと思いますが、それでも「これは入ってないんだ (^^;」みたいなことはあって、例えばこの曲は60年代R&B/Soulでは最も売れた曲の一つなんですが、ランクインしていませんでした。今でも十分に力のある曲だと思うんですけどね。この曲は、1967年にブロードウエイで初演された、ミュージカル「ヘアー」のオープニングとエンディングの曲をメドレーにしたものです。

     

    Hair (2009 Broadway Revival Cast) - Aquarius/Let the Sunshine ※ Live 2010

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    「ヘアー」は2009年にブロードウェイでリバイバルされていますが、その時のキャストによるテレビでのパフォーマンスです。

     

  8. The Showstoppers - Ain't Nothin' But A House Party (1967)

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    こちらは「500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone」どころか、ビルボードHot100にもランクインしなかったマイナー曲です(よくビデオがあったな)が、個人的には気に入っています。なんでこんな曲を知っているかというと、カバーを聴いていたからです。

     

    J. Geils Band - House Party ※ Live 1979

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    ライブバンドとして定評のあった J. Geils Band によるカバー。と言っても、 J. Geils Band がブレイクする(「Centerfold」が1982年に全米1位獲得)前のものなので、こちらを知っている人も少ないでしょう(これもよくビデオがあったな、と思いました)。個人的思い入れのみで選んだ一曲でした。

     

  9. Bobby Hebb - Sunny (1966)

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    こちらはアメリカでかなり売れた曲ですが、日本では次のカバーの方が有名だと思います。

     

    Boney M. - Sunny (1978)

    youtu.be (Official)

    ボニーMは Rasputin - YouTube(邦題「怪僧ラスプーチン」) が主にヨーロッパと日本でヒットしましたが、アメリカではあまり売れなかったみたいですね。ちょっとイロモノな感じのバンドでした。

     

    Jamiroquai - Sunny ※ Live 1995

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    曲の方は普通に名曲なので、ジャミロクワイがライブでよくやってたみたいです。どちらかと言うと、ボニーMバージョンのカバーっぽい気がしますね。

     

  10. Doris Troy - Just One Look (1963)

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    こちらもアメリカではそこそこヒットしている曲ですが、やはり日本ではカバーの方が有名だと思います。

     

    Linda Ronstadt - Just One Look (1979)

    youtu.be (Label Official)

    Linda Ronstadt は、そもそもカバー曲が多いんですが、50〜60年代の曲のカバーもよく演っています。例えば、It's So Easy (Label Official) - YouTubeTracks Of My Tears (Label Official) - YouTube

     

  11. Smokey Robinson and The Miracles - The Tracks of My Tears (1965) ※ 動画は Motown25周年記念イベントでのリンダ・ロンシュタットとのデュエット ※ Live 1983

    www.youtube.com

    ローリングストーン誌が選ぶ〜」の順位で言えば Part 1 で選んでいないといけない感じの曲ですが、日本での人気、知名度はもう一つのような気がします。こういうズレを感じる曲やアーティストというのは、ジャンルを問わずありますね。

     

    Boyz II Men - The Tracks Of My Tears (2007)

    youtu.be (Official)

    90年代を代表する正統派コーラスグループによるカバー。これは 2007年のモータウン名曲のカバーアルバム「Motown: A Journey Through Hitsville USA」発表時のプロモーションビデオのようです。

     

  12. Marvin Gaye - I Heard It Through the Grapevine (1968)

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    こちらも Part 1 でとりあげて然るべきアーティストですが、彼の場合は70年代の「What's Going On(500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone  #4 )」などの自作曲が代表作にふさわしいと思うので、ここで取り上げるのは少し抵抗があります。ちなみにこれはモータウンの作家陣による作品で、「悲しいうわさ」という邦題がついています。

     

    Creedence Clearwater Revival - I Heard It Through the Grapevine (1973)

    youtu.be (Official)

    プラウド・メアリー500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone  #156)」「雨を見たかい500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone  #188)」などのオリジナル曲が有名なバンドですが、「悲しいうわさ」のアルバムバージョンは11分を超える超大作となっています(紹介動画はシングルのショートバージョン)。

     

  13. Gradys Knight & the Pips - I Heard It Through the Grapevine (1967)

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    マービン・ゲイの「悲しいうわさ」と同じ曲ですが、実はこちらの方が早く発売され、ヒットしています。Gradys Knight もモータウンを代表する歌姫ですが、70年代前半のイメージですかね。

     

    Amy Winehouse & Paul Weller - I Heard It Through the Grapevine ※ Live 2006

    www.youtube.com

    こちらは Jools' Annual Hootenanny, Jools' 14th Annual Hootenanny - 2006(イギリスの年越しライブイベントのようです。現在は恒例となっていますが、その第1回)でのライブ。2006/2007 なので、Amyがブレイクした年ですね。

     

  14. Barett Strong - Money (That's What I Want) (1959)

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    私的に60年代ポップ最大の「なんじゃこれ」ソングなので、是非とも紹介したい曲でしたが、発表が1959年なので Part 1 での紹介は断念。しかし年間チャートだと1960年にランクインしているので、ここで紹介してしまいます。これはモータウン初期の曲で、作曲にはモータウン・レコード創始者ベリー・ゴーディー・ジュニアが参加しています。ちなみに、Barret Strong は「Money」の作曲には関係していませんが、「I Heard It Through the Grapevine(悲しいうわさ)」に作曲で参加しています。

     

    The Flying Lizards - Money (That's What I Want) (1979)

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    実は、最初にこちらのカバーを聴いていたので、原曲をどれくらい崩したんだろうと思っていたら、意外とそのまんまだったので逆にビックリしました。

     

    Plastic Ono Band - Money (That's What I Want) (1969)

    www.youtube.com

    Money といえば The Beatles のカバーが有名ですが、ジョン・レノンのカバー・パフォーマンスも残っています。ギターにエリック・クラプトン、ドラムにアラン・ホワイト(後に Yes に加入)と共演者も豪華です。これは Toronto Rock and Roll Revival での演奏で、音源は「平和の祈りをこめて(Live Peace in Toronto 1969)」、映像は「Sweet Tronto」に収められています。

     

  15. Dionne Warwick - I Say a Little Prayer (1967)

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    これは非常に有名な曲だと思っていたので、「500 Greatest Songs of All Time – Rolling Stone」でランク外、セールス的にもそれほどではなかったのが意外でした。ディオンヌ・ワーウィックは、60年代から70年代初頭にかけて、バート・バカラック(映画『明日に向かって撃て!』 の主題歌「雨にぬれても」の作曲などで有名)と組んでヒット曲を多数出しており、これも彼の作品です。

     

  16. Aretha Franklin - I Say a Little Prayer (1968) youtu.be

    実はディオンヌ・ワーウィックとほぼ同じ時期にアレサ・フランクリンも同じ曲をリリースしています。聴けばわかる通り、アレサ版はメロディに従った歌唱ではなく、彼女のパフォーマンスを最高の形にするために、メロディを利用している感じに聴こえます。 曲に対するアプローチがそもそも違っているんですが、「それでは、この二人が同時に歌ったらどうなるんだろう?」という疑問に実際に答えてくれるのがこちらです。

     

    Dionne Warwick & Aretha Franklin - I Say a Little Prayer  ※ Live 1981 

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    これはディオンヌ・ワーウィックがホストを務めた Solid Gold というテレビの音楽番組でのパフォーマンスのようです。「どこからどこまで誰がリードをとるか」だけ決めて、あとは即興って感じでしょうか。ディオンヌ・ワーウィックは途中から結構自由にやれてるようですね。そして、もう一つ、この歌の素晴らしいデュエットがあります。

     

    Whitney Houston & Natalie Cole - I Say a Little Prayer  ※ Live 1990

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    こちらもシチュエーションは似ていて、ナタリー・コールがホストしたテレビ番組にホイットニー・ヒューストンがゲスト出演した時のもののようです。Dionne Warwick とWhitey Houston は親類関係(いとこ同士)ですが、前のビデオで言うと、ディオンヌ→ナタリー、アレサ→ホイットニーという関係ですね。この二人は本当に仲が良かったらしく、このあとも一曲(「明日に架ける橋」)歌ったようです(Whitney Houston and Natalie Cole - YouTube)。グラミー賞を何度も受賞した優れた歌手(ディオンヌ・ワーウィックナタリー・コール)が自分の番組を持った時に、当時の最高の歌手(アレサ・フランクリンホイットニー・ヒューストン)をゲストに呼んで歌ったのがこの曲だったということになるでしょうか。

    「I Say a Little Prayer」には「小さな願い」という邦題がついています(「prayer」なので「小さな祈り」ですが、少し宗教的な言葉になるので「願い」としたのでしょう)。歌詞の内容は「ちょっとしたことをするたびに、私は小さな祈りを捧げる」というものです。「誰にどんな祈りを?」というところで解釈は別れるかもしれません。 

    この歌をデュエットした4人のディーバも、存命なのは Dionne Warwick だけとなりました。この歌には「Forever and ever, you'll stay in my heart」という歌詞があります。R.I.P.

 

余談になりますが、ディオンヌ・ワーウィックホイットニー・ヒューストンのデュエットには、一つ有名なものがあります。

 

Dionne Warwick & Whitney Houston - That's What Friends Are For (1985) ※ Live 1990

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これは「アリスタレコード15周年記念」として行われたAIDS募金コンサートのフィナーレの映像です。作曲はバート・バカラックキャロル・ベイヤー・セイガー。冒頭でピアノを弾いているのがバート・バカラックです。タイトルの「That's What Friends Are For」は、「愛のハーモニー」という邦題がついていますが、友達からお礼を言われた時に「友達なら当然でしょ?」と返すようなシチュエーションで使われるようです。

 

紹介曲と「1960年代歌謡曲/ポップ」で紹介した Jimmy Ruffin、The Supremes、Martha & the Vandellas、The Marvelettes の曲を加えてプレイリストを作ったので置いておきます。