和洋折衷

昨日の記事で「和」とロックを融合させたバンドとして竜童組を紹介しましたが、こういう記事を見つけました。

popmusic.hatenablog.com

記事の内容は納得できるものなので、私も知っている範囲で、BAND-MAIKOみたいに Rock/Popsに「和」の要素を取り入れる試みにはどんなものがあったかを書いてみようと思います。

 

洋楽での和楽器の使用

洋楽に「和」の要素を取り入れる方法として、西洋楽器のパートをそれに似た和楽器で置き換える(ピアノ→琴、ギター→三味線、サックス→尺八、ドラム→和太鼓、フルート→篠笛など)というのがあります(和と洋では音階が違うのでアレンジも必要かもしれません)。

西洋音楽市場での和楽器の使用

先の記事にあるように、アメリカ・ヨーロッパの音楽市場で「和」テイストが注目されたのは、 A Taste of Honey「Sukiyaki」坂本九上を向いて歩こう」のカバー。1981年にビルボード全米シングル最高3位の大ヒットとなった)で間違いないと思います。

 

A Taste of Honey - Sukiyaki (1980)

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そして、Sukiyaki の琴奏者が結成したアメリカのフュージョングループが Hiroshima なわけですが、このグループは日本でも80年代にCMの音楽を担当していたことがあるので、ご存知の方もいると思います。

 

サントリーホワイトCM (1982-84) ※ 2:08〜4:22 まで

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夜桜、荒海、花火、富士山の4パターンあり、それぞれ違う曲ですが、Hiroshimaの担当です。もう一つ別バージョンもありました。

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CMで使われている曲のうち、夜桜はCMオリジナルの「ホワイトドリーム・夜桜」。花火はサードアルバム収録の「San Say」なのはわかっていますが、後の曲名は確認できませんでした。

 

Hiroshima - San Say (1983)

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Hiroshima は、SpotifyApple Music、Amazon Music Unlimited で聴けます。

 

現代音楽・ジャズでの和楽器の使用

和楽器の使用例だと、実験的要素を取り入れやすい現代音楽やジャズの方が古く、'60〜70年代からあるようです。現代音楽では、武満徹(「ノヴェンバー・ステップス」(1967) などの作曲)、ジャズでは尺八の山本邦山などが有名だと思います。

 

山本邦山+Blue Coats Orchestra - Take Five

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洋楽の「和」風カバー or 純邦楽の「洋」風カバー

「和」と「洋」の混成ということだと、どちらかの曲を逆のスタイルでカバーする方法もあります。

洋楽の「和」風カバー

洋楽を和風にアレンジする方向だと、一番有名なのはこれですかね。

 

金沢明子 - イエローサブマリン音頭 (1982) ※大瀧詠一プロデュース

日本人に受けるタイプの洋楽と、音頭の相性は良いらしく(というか、音頭にできる洋楽が日本人に受けやすいのかも)、去年この tweet が話題になりました。

 

和楽器で J-Pop や洋楽をカバーする例は多く、YouTubeにもかなり動画が上がっています(「三味線(などの和楽器名) カバー」で検索すると結構見つかります)。今回探してみたところ、以下のような大規模編成のカバー動画も見つかりました。

 

和楽器+オーケストラ+黒人ボーカル - We Will Rock You ※ 2011年

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純邦楽の「洋」風カバー

日本の純邦楽(民謡、雅楽など)を洋楽編成でカバーするアプローチだと、寺内タケシの民謡カバーが有名だと思います。

 

寺内タケシ - 津軽じょんがら節 ※ 1965年頃より開始

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他の民謡の洋風カバーも探してみたんですが、「和」+「洋」の素晴らしい民謡カバーを見つけたので、ここに挙げておきます。

 

山本邦山(尺八)+石塚まみ(ピアノ、歌) - 竹田の子守唄

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ワールドミュージックとしての邦楽

沖縄

世界的には、ある地域固有の民族音楽西洋音楽と融合して新しいポップミュージックを生み出すことがあります。最も成功したのはレゲエでしょう。レゲエのムーブメントは60年代末から70年代初めに起こりましたが、同じような動きが同じ時期に世界中で起きています。アフロビートが産まれたのもこの頃で、日本でも沖縄から新しいスタイルの音楽が産まれました。

 

喜納昌吉&チャンプルーズ - ハイサイおじさん (1969) ※ 日本でヒットしたのは沖縄返還の1972年

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喜納昌吉は「花〜すべての人の心に花を〜」も有名ですね。

 

りんけんバンド - ありがとう (1987)

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上々颱風 - 愛より青い海 (1991)

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The Boom - 島唄 (1993)

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夏川りみ - 涙そうそう (2001)

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これら沖縄ルーツの音楽の特徴は、三線(蛇皮線)が入るところです。

 

ジャパネスク

ジャパネスクは、「外国人の目に異国情趣が強く感じられる純日本的な雰囲気(コトバンクより)」のことで、最初は「外国人がイメージする、実際の日本とは非なる異世界」のことも指していたと思いますが、ここでは「外国人が求めている日本の姿」みたいな意味ですね。外国人にとっての非日常で、外人が日本に来てこれがないとがっかりしちゃうようなものです。

「今現在の日本人として」というより、一度自分を日本人以外に客体視してから日本全体を(歴史的視点からも)俯瞰した上で、「日本らしさ」を取り出してみたもの、という感じですね。

 

サディスティック・ミカ・バンド - 黒船 (1974)

Rockの大物プロデューサー Chris Thomas が自ら望んでプロデュースを行った傑作『黒船』。冒頭「墨絵の国へ」のイントロのキーボード(琴の音を意識していると思われる)や「よろしくどうぞ」のお囃子にジャパネスクが見て取れると思います。

『黒船』については以下が詳しいです。

曲では「タイムマシンにお願い」が有名ですが、私は「どんたく」が好きですね。

 

松村和子 - 帰ってこいよ (1980)

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こちらはジャパネスクとは少し違うと思いますが(どちらかというと「沖縄」の本土版でしょうか)、ポップス(演歌ではありますが)に三味線を取り入れ、ヒットさせたという意味で画期的でした。

 

竜童組 - ザ・カムイ (1985)

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再掲。詳細は昨日の記事を参照ください。

 

陰陽座 - 甲賀忍法帖 (2005)

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和楽器はそんなに入っていませんが、全体の世界観は「ジャパネスク(という異世界)」の典型例と言えるかも。この頃は、EXILEAAA というヒットメーカーもジャパネスクっぽい楽曲を出しています。

 

Monkey Majik × 吉田兄弟 - Change (2011)

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吉田兄弟津軽三味線の奏者。コラボの経緯はわかりませんが、Monkey Majik吉田兄弟は、この後合同で北米ツアーを行ったとのこと。

 

BABYMETAL - メギツネ (2013)

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燦然と輝く「和」メタルの傑作。近年 J-Rock が海外で受け入れられるようになったのは、このグループとこの楽曲の影響も大きかったはず。

 

和楽器バンド - 千本桜 (2014)

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音楽における「ジャパネスク」の完全体。PV視聴数も1億回を超えました。

 

BAND-MAIKOも「ジャパネスク」の括りですかね。しかし、こうして見ると、「ジャパネスク」に最低必要なのは「和楽器」より「着物」の方なのかもしれません。BABYMETALはライブで着物を着ませんが、日舞で代用って感じかな。